MY STORY

私のストーリー

2021-09-14

第十三章:【Rich Aroma Tea 香りを楽しむ紅茶】

前章で香り雑貨というカテゴリーを確立させるべく日夜新商品の開発に明け暮れる日々の折、突然チャンスが舞い込みました。

百貨店からのお声がけ

1999年春

英国のKEW GARDEN(Royal Botanic Gardens KEW)のアンダーライセンスで香り雑貨を作らないかというお話を、当時、日本のライセンサーであった都内の有名百貨店さんからお声がけいただいたのです。

香り雑貨の新商品づくりに行き詰っていた私は、この話に飛びつきました。

担当者に話の内容を聞かせていただき、プレゼンテーションまで漕ぎつけてついに契約の取り交わしとなった段階で、先方からのリクエストがありました。

香料類のMSDS(安全データシート)を英国の本部に送らなければならないので至急資料を送ってほしいというものでした。

私は、すぐに手配し英文チェックも入れて担当者経由でお送りしました。

後は、先方のゴーサインを待つばかりだったのですが、10日ほどたってからその担当者から連絡が入りました。

英国からの審査結果


「大変申し訳ないのですが、今回の企画は最終的に却下となりました。私たちも期待しておりましたので、非常に残念です。」と、このように仰ったのです。

そして彼女はこう付け加えました。

「髙木さんもこのままじゃ悔しいじゃないですか!できるなら食品関連に企画を変えてチャレンジされてみませんか?」

「ちょうど、フォートナムメイソンとの契約が切れるので、紅茶とかできませんか?」

私は、「少しだけ考えさせてもらえますか?」とだけ伝えて電話を切りました。

実は、その却下された理由というのが、香料の安全性のテスト項目にビーグル犬の目の炎症テストが入っていたからなのです。

ビーグルと言えば英国ではもっともポピュラーな犬です。動物愛護の観点からもそこは先方も譲れなかったのだと思います。企画は審査をパスしたのに、こんなことで却下とは…、私はあきらめきれない思いで幾日かを過ごしました。

食器類を販売していた経緯もあって紅茶のことも少しは興味があったのですが、香りビジネスに特化して再スタートを切ったばかりなのに、畑違いのビジネスを片手間でやることには抵抗もありました。

そんな思いもあって試行錯誤を繰り返しながらある日ふとひらめいたのです。

「Rich Aroma Tea」リッチ・アロマティーの誕生

「香り」と「紅茶」という二つのキーワード。

そうだ、意外にも答えはシンプルだと気づいたのです。

紅茶を飲むという行為を「味わう」という目的から「香りを楽しむ」という目的に変えればいいのだと思いついたのです。

「Rich Aroma Tea」リッチ・アロマティーの誕生です。

早速私は提案書を作り、プレゼンテーションをさせてもらえるようにその担当者に電話しました。

彼女は大変喜んでくれました。百貨店本部の中枢部署でもある“新生活研究所”に在籍していた彼女からの返事は10日ほどしてからきました。

その答えは「Yes!」「承認が下りました。すぐにでも東京にお越しください。」

来年の春までに具体的な商品群のダミーも仕上げなければなりません。

一年を切っていたので既存のビジネスである香りの企画も並行してすすめながら、営業活動などのその他の仕事は全部社員に振りました。

忙しい毎日が続きましたが、私にとっては香り雑貨の企画に行き詰まりを感じていたこともあり、渡りに船という心境でした。

なにせ相手は英国王室のKEW GARDENです。サブ・ライセンサーとはいえ、由緒あるKEWとの契約が成立し実績ができれば弊社の信用度もあがり会社としての品格も上がると、浮足立つ気持ちを抑えることが出来ないほど舞い上がっていました。

茶葉のこだわり

何度も飲んだこともある紅茶といっても、もっと深く専門的に知る必要があるとの想いから、仕入れルートの開拓や、資材の調達ルートの捜索と交渉などやることは山のようにありました。

茶葉のもとの木は日本茶も紅茶も同じだということを知った私は、お茶っ葉となる工程とその産地に注目をしました。

アッサム、ディンブラ、ダージリン、ヌワラエリアにとどまらず、日本のほうじ茶、番茶、台湾の龍井茶まで用意しました。

トッピングによる香りの変化

香りを楽しむという「リッチ・アロマティー」がコンセプトですので、トッピングで香りが変わるようにハーブやドライフルーツ、挙句の果てはブランデーを紅茶に垂らすという飲み方からヒントを得て、「ティーエッセンス」という液体状のトッピングレシピも作ることを決めたのです。

バニラフレーバー、柑橘類のエッセンス、ミントフレーバーなど。数滴紅茶に垂らすことで香りも風味も変わります。

また、アフリカで飲んだチャイにはスパイスが入っていたことを思い出し、カルダモンやシナモンスティックも準備しました。

本場英国のブランドに恥じないように私自身も紅茶の歴史からおいしく入れるコツなど、また相性のいいお菓子類の勉強までのめり込むようにして昼夜を問わず紅茶漬けの毎日でした。

テイスティングで舌が荒れすぎて病院で診察を受けなければいけなくなるまで試飲を続けた結果、一番いい組み合わせのレシピを作って基本的なブレンドティーの完成版も同時に売り出すこと決めたのです。

また、紅茶を飲むティーカップやポットなどもオリジナルで作りました。

パッケージデザインなどは当時アメリカのMOMAにもコレクションが保存されていた知人のデザイナーにお願いして全体の監修までをやっていただきました。

苦労の末に出展、しかし…

2000年9月

そうして苦労してやっとリッチアロマティーシリーズは西暦2000年の節目にふさわしい形として展示会デビューを飾ったのです。

試飲会も行い、反応は大変よかったのですが、ここで社員が造反をおこします。

そもそも新しいことをやる時に一番問題となるのは、社内のベクトルの合わせ方です。一旦それを間違うと分裂する事態となるということです。

いまとなっては理解できるのですが、そのころの私は残念ながらなにも分かっていない経営者でした。


次章へ続く・・・・