皆さん、こんにちは。
日々の暮らしにやさしく香りを添えてくれるリードディフューザー。お部屋に置くだけで空間がふんわりと満たされるため、インテリアとともに楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。
リードディフューザーを使っていてしばらくすると、「オイルが減らないな」とか「スティックを反転させても香りが立たないな」と感じたことはありませんか? せっかく買ったのに吸い上がらないと、少しムッとしてしまうこともあるかもしれませんが、その原因はいくつかあります。
フレグランスメーカーのアート・ラボがお届けする【フレグランス・ラボ通信】第22回目は、リードディフューザーのオイルが減らない原因と、その対策についてお話します。

オイルが減らないのはリードスティックの導管が詰まっているかも
リードディフューザーの芳香の仕組みはとてもシンプルです。オイルを吸い上げるために挿す「リードスティック (Reed Stick)」は直訳すると「葦のスティック」。植物の葦の細い導管がオイルを吸い上げ、空気中に香りを広げていく——その繰り返しで香りが穏やかに拡散されます。現在ファイバー製など他の素材もありますが、一般的に総称してこれらも「リードスティック」または省略して「スティック」と呼ばれています。
しかし、環境により長く使っているうちにオイル成分やほこりが入り込んで導管が詰まり、スムーズに吸い上げられなくなることがあります。基本、スティックを反転させると香り立ちが良くなり、オイルも減りますが、あまり改善されないそんな時は新しいスティックに交換するのもひとつの方法です。

環境やオイルの特性によっても減り方は変わります
オイルがなかなか減らないな、と感じたときは置き場所も工夫してみましょう。たとえば、人の出入りが多い玄関やドアのそば、直射日光の当たらない窓辺などに置くと、空気の流れに乗って香りが広がりやすくなり、オイルの減り方も変わります。ですが、直射日光や暖房のすぐ近くに置くと揮発が早まりすぎて香りの持ちが短くなるため注意が必要です。話は少しそれますが、鼻や目の高さに近いチェストや、棚の上に置くと、空気の流れに自然に乗り香りを感じやすくなります。
揮発のスピードは各家庭の環境によっても変わり、温度・湿度・部屋の広さなどの様々な環境により異なります。そして溶剤としてアルコールを多く含むオイルは蒸発が早く香りが広がりやすい一方、ノンアルコールタイプや天然由来の香料、粘度の高い香料はなどは、揮発が比較的ゆっくりで、減りが少なく感じられることがあります。

オイルは全部なくならなくても自然なこと
「オイルによって最後まできれいになくならないのは不良品じゃないの?」と心配される方もいらっしゃいます。けれども、これはリードディフューザーでは自然なことです。
残りわずかになったオイルは酸化して粘度が増したり、アルコールが先に揮発することで残りが濃くなり、スティックが吸い上げにくくなっていきます。そのため、容器にオイルが残るのは充分に考えられる現象で、むしろ香りの質が変化したオイルを無理やり使い切るよりも、パッケージに書かれた芳香期間を目安に適切なタイミングで新しいオイルに切り替える方が、香りを心地よく楽しめます。パッケージの芳香期間はアート・ラボが「このくらいの期間は私達が意図した香りをお楽しみいただけますよ」という目安だとお考えください。
廃棄する際は、オイルを他の液体と混ぜず、紙やティッシュで吸わせるなどして安全に処理し、各自治体のルールに従って廃棄してください。無理に使い切らず、新しいオイルに交換することで、常に快適で本来の香りを楽しむことができます。

■フレグランス・ラボ通信スタッフの体験談
ラボ通信の新人スタッフの一人は、仕事部屋に長期間ディフューザーを置いていたそうです。残りわずかになったとき、「まだ香りがあるから」と思い、そのまま使い続けていたところ、オイルが濃い黄色に変色し、香りも本来の設置した始めの頃の香りでなくなってしまったのだとか。
「きれいに全部を使い切りたい」という気持ちは自然ですが、そのとき改めて、残ったオイルは無理せず切り替えるのが一番だと実感したそうです。
香りを長く楽しむための工夫として
リードディフューザーの香りをより心地よく楽しむために、ちょっとした工夫を取り入れてみましょう。
・スティックを定期的に反転させる
・導管が詰まったら新しいスティックに交換する
・直射日光や暖房を避けつつ、置き場所を変えてみる
・オイルが残っていても劣化していたら廃棄し交換する
これらを意識するだけで、香りの楽しみ方がぐんと変わります。
最後に
香りは目には見えませんが、リードディフューザーの背景には小さな科学が隠れています。その仕組みを知り、ちょっとした工夫を取り入れることで、リードディフューザーはもっと快適に楽しむことができます。この記事でお気に入りの香りをさらに楽しんでいただけたらとても嬉しいです。
ではまた次回、【フレグランス・ラボ通信】〜香りのエトセトラ〜でお逢いしましょう。