お香は、燃焼または燻った状態で、その持っている機能を発揮します。燻っているときに「樹脂分」や「香気成分」が多いものを使用しますと、それが煙の多寡とヤニ分に影響します。このお香は、従来の線香業界で使用されている原料を用いずに樹脂分の少ない、香気成分のあまりないものをその原料に用いてブレンドしています。また、原料中に全く燃焼しない鉱物を使用することによってもタールやヤニ分を多く含む煙を出さずにすむよう考えられています。
従来のお香には、粘着剤が20~30%含まれています。この粘着剤が、お香を焚いたとき、純粋な香料の香りを台無しにしている原因の一つ。この粘着剤の香気を抑えるために漢方薬が20~30%使用されますが、かえって漢方薬の匂いも気になってしまいます。アート・ラボのお香は粘着剤を5%に抑え、食品用のものを使用していますので、香料そのものが持つ香りにほとんど影響を与えません。また、香料もタールなどの原因となる石油系の化合物は使用せずに調合されています。ナチュラルな香料の香りをお楽しみください。
このような原料の改良と工夫によって生まれたお香本体は、うつろい香が誕生するきっかけとなりました。なぜならこのお香は、従来の練り込み式で成型と同時に香りづけする方法ではなく、私たちが後付けと呼ぶ、成型後に香料だけを附香する方法でお香を作り上げる2段階方式の製造工程を採用したからです。
本体の表面は多孔質で香料が浸透しやすい状態であることから、香料が容易に入りやすく、従来のお香の3倍強の香料が含侵されています。そこで、種類の異なる香料を二分の一ずつ漬け込むことで、Aの香りからA+Bの香りへ、また最後にはBの香りへと香りが移ろうように作りこむことに成功しました。京都の四季折々のうつろいの情景描写に見立てて、重なり合うAの香りとBの香りのブレンドをあらかじめ想定し、イメージ通りの香りが出来上がった後、Aの香りとBの香りに分解するという手間のかかる作業を繰り返し、12種類のうつろい香が完成しました。
